Midnight-03

シャーロック:ジョン、まだ起きてるか?
ジョン:珍しいな、君から僕の部屋を訪ねて来るなんて。
シャーロック:そう言われればそうかも知れないが…。
ジョン:で、何の用なんだ?
シャーロック:それだ。メアリーに言われたんだが…
ジョン:…メアリーが?
シャーロック:ああ。君の彼女に、人の気持ちが分からないのかと聞かれたから、分からないと答えた。そうしたら…出会ったことで、お互いに起こった変化を話し合ってみるといいとアドバイスを受けたんだ。
ジョン:それでわざわざ、訪ねてくれたってわけか。君が他人のアドバイスを、実行する気になったとはね。
シャーロック:結果を知らせる約束までさせられた。君の彼女は交渉人にでもなるんだな。
ジョン:それはそれは。で、僕と出会って、君にどんな変化があったんだって?
シャーロック:ちょっと待った。先ずは僕から、君に聞きたい。だからこそわざわざ、まかり越したんだからな。
ジョン:…シャーロック。いきなり聞かれて、即答できる質問じゃないことぐらい分かるよな? 君とは色々あったわけだし…。
シャーロック:深く考える必要はない。君の彼女に言わせると、質問を受けて、とりあえず頭に浮かんだ印象でいいそうだ。
ジョン:それでいいなら…そうだな、バカな子ほど可愛いという親心の矛盾が、理解出来るようになったことかな。
シャーロック:…何だって?
ジョン:いやだから、バカな子ほど可愛いって諺があるだろ?
シャーロック:そうじゃなくて。驚いたなジョン、いつからそんなに推理力がついたんだ? 僕の答えをそのまま言ってもらえるとは…。
ジョン:ちょっと待った。君の答えを代わりに言ったわけじゃない。今のが僕の答えだよ。まさか君も、同じこと感じてたなんて思いもよらなかったけど…。
シャーロック:…参ったな。
ジョン:全くだ。
シャーロック:メアリーに、何て知らせればいいか…。
ジョン:僕なら正直に報告するよ。どんな顔されるか、ありありと想像できるけど。
シャーロック:…そうだな…。ジョン、確かに意味はあったようだ。君からも、彼女にそう言っておいてくれないか?
ジョン:分かった、話しとく。それにしても…。
シャーロック:認めろよ、ジョン。僕とまた組めることになって、本当は喜んでるんだろ?
ジョン:とっくに認めてる。君こそもっと早く、知らせてくれればよかったんだ…。
シャーロック:反省してるさ。
ジョン:ウソつけ。
シャーロック:やっぱり君の推理力上がってないか、ジョン?
ジョン:…さあてね。


【終わり】