願い事。
まぼろしで構わないんだ。
君がまた、そこに居てくれるなら…。
まぼろしだから、2人分の食事作っても食べるのは僕だけだ。
いいんだ、君も時々、食べないことがあったから。
ただいつもの場所に座っててくれるだけで、僕が声かけても反応なくたっていっこうに構わない。
ほっとくと僕が出かけたのさえ気づかない君だったんだから。
君のソファーの背もたれの向こうに、君の横顔や後頭部がぼんやり見えるだけでいいんだ。
君が本当はあの世とこの世のどちらにいるかなんて関係ない。
まぼろしでいいんだ。
君がいつも通りにそこに居るって、思い込むことさえ出来れば。
この夜の間だけでも…。
【終わり】